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373 天皇制と日本人の精神 2019年11月17日

日本は、昔からの伝統を残したままで欧米化された、世界でも稀有な非欧米国として知られています。アメリカの旅行雑誌(月100万部発行)による世界最良の都市ランキングで、京都が1位になりました(「世界が日本人に注目している」)。歴史と現代がほどよく混ぜ合わされた京都の街に、世界中のひとがひかれます。

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天皇の即位に伴う行事が進行しています。費用や政教分離の視点からの批判が、メディアに見受けられます。

日本書紀の中に、日本武尊が自分を現人神の子と述べた、とあります。天皇を明確に神格化したのは、明治政府です。第2次世界大戦では、現人神である天皇が、他国侵略のために徹底的に利用されました。戦後は、人間宣言によって神格性が架空のものになりました。

大嘗祭などの行事で、天皇は神ではなく、人間の代表として神に平和と繁栄をお願いする立場にあることが、よく分かります。神は伊勢神宮に存在し、天皇はそこへ向けて祈りを捧げます。このような行事の内容から、天皇は卑弥呼の流れをくんでいる、ひとと神の間の仲介者と理解したほうがいいようです。
キリストがひとと神の間を取り持つように、天皇もひとと神の間を取り持つのです。キリスト教と神道は、全く異質な宗教のように見えますが、人間の本質から出る種々の宗教には、本質的な違いがありません。

私たちは、日常的には天皇の存在を意識していません。けれども、1300年もの間、伝統的な行事を執り行っている天皇家の存在が、日本人の精神形成に影響を与えていることは、間違いありません。

権力者は、自分の権力を誇示するために、軍事パレードのような、これ見よがしの権力誇示を行うのが普通です。ところが、大嘗祭などは、ひとに見せるための行事ではなく、日本の伝統を精神の内面に埋め込み、保持し続けるための行事になります。世界の権力者の中で、このような秘儀を行う天皇家は、極めて異例と言えます。

天皇家の行事は、それが現代にふさわしいかどうかが、問題ではありません。古い伝統を守り続けることに、大きな意味があります。

372 強化される独裁 2019年11月8日

中国では、中央委員会全体会議で、共産党の路線が決定されます。先月末に開催された会議の採択事項が、公表されました(日経新聞11月7日)。
中国が置かれている状況が厳しさを増しているために、習近平を中心にした、共産党政権の独裁強化が決議されたことが分かります。習体制の絶対化が、超核心的利益なのです。

採択事項で、一党支配の強化のために有効なIT技術の開発促進や、統治が容易な国有企業の巨大化をうたっています。
技術それ自体は、良くも悪くもありません。技術を悪くするのは、悪意を持っている人間です(拙著「サイバー世界戦争の深い闇」)。核分裂は発電に有効ですが、核爆弾にも使われます。ネットは、人間のあらゆる活動を効率的にしますが、世論操作やスパイ活動にも使われます。

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中国国外に住む非中国人の私たちが、特に注目すべき項目があります。ネットの世論管理を、「国内外で強化する」ことを盛り込んだのです。国外で、中国人だけに絞って世論管理することは不可能なので、他国の人たちの情報管理も強化する、と読むことができます。

一帯一路を受け入れている開発途上国へは、資金にものを言わせて圧力をかけ、中国の外交政策に従わせようとしています。典型的には、台湾との断交です。オーストラリアやイギリスなどの先進国では、潤沢な資金を使って、政治家や大学などを操作する活動が、行われています。

香港問題に関しては、「一国二制度」の「二制度」は、「一国」から派生すると述べ、統治の主権が北京にあることを明確にしています。「香港人が香港を統治する」と述べていますが、「愛国者を主体とする」という条件が加わり、北京の息がかかった人以外は、香港の統治に関わることができないようにしました。ファーウェイの任CEOは、共産党員の愛国者です(作者の思いNo.371)。

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中国人の平均給与はまだ低く、給与水準からは、中国は開発途上国にあります(エッセイ61「中国の覇権奪取戦略」)。言論統制による多様性の否定は、国の活力を低下させます。強硬な軍事進出などは、他国から反発を受け、長期的には、国全体の発展を阻害する要因になることは、間違いありません。

香港の大陸化ではなく、大陸の香港化が、中国人全体にとっての長期的な繁栄につながります。けれども、独裁政権は、国の長期的な繁栄よりも、現在の権力維持にこだわります。

371 超監視社会の恐怖 2019年10月29日

政治家であれ、企業人であれ、権力を握った人たちは、それを滅多に手放そうとはしません。あらゆる手段を使って、権力を維持しようとするばかりか、権力の更なる拡大に努めます。この衝動は、集団性動物である人間の本能から発している、と言えます。
憲法を改正してまで、永世主席になる道を確保した習近平が、あくなき権力欲の典型例になります。

中国では、多くの著名な中国人が行方不明になっています。当局によって拘束されていると思われますが、拘束した理由は公表されていません。北海道大学教授を含む十数人の日本人も、「スパイ容疑」で拘束されています。

インターポール(国際刑事警察機構)総裁の中国人ホンウェイが、中国へ帰国した昨年9月に身柄を拘束されました。彼の現状は、公表されていません。新疆大学(中国ウイグル自治区の大学)のティップ元学長は、東京理科大学で博士号を取得しました。中国共産党員であるウイグル人のティップ氏。北京の空港で2017年に拘束され、秘密裁判で死刑を宣告されました。死刑は、すでに施行されたか、間もなく施行されます。

ファーウェイの任CEOが、初めてメディアの前に立ったときに言った言葉。「私は共産党員で中国の愛国者です。社員には党員が大勢います」

中国国家情報法によると、国が情報提供を命じたならば、国民は拒否できません。拒否すれば、処罰が待っています。国民全員が、諜報活動に参加することになります。

香港の人たちの「反乱」は、日本人の想像を超えています。若者たちは、自分の将来を棒に振ることだけではなく、死をも覚悟しているように見えます。同じ中国人が確立した、大陸の政治システムを完全拒否する香港の中国人。

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以上の点と線を結んだ上で、中国の顔認証システムの高度化を見ると、肌寒くなります。スマホでさえも認証に必要ではなく、出入り口に取り付けられたタブレット端末に、自分の顔を認識させるだけで、買い物が終了し、電車に乗れるのです。

誰一人として監視カメラから逃げることができません。逃げられる手段を見つけた人は、それだけで要注意人物になってしまいます。揺りかごから墓場まで、独裁政権が全国民の動向を把握。権力者は、それを権力維持のための強力な道具として使います。社会信用システムで国民にポイントを付け、ポイントが低ければ、電車にも乗れず、買い物もできなくなります。体制批判をする人たちは、突然に行方不明になります。

370 一番多いiPhoneからのアクセス 2019年10月10日

Googleが、ウェブ管理者向けに、Googleアナリティクスというサービスを行っています。サイトへアクセスした人の、いろいろな個人情報を教えてくれるのです。勿論、ネットユーザーのプライバシーを侵害しない範囲での、統計的なデータしか教えてくれません。それでも、ウェブ管理者にとっては、自分のサイトのプローモーションに役立つ、貴重な情報になります。

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「夢と現実のエッセイ評論」は、各ページの論評が長く、スマホで読むのは大変です。私は、スマホでも読みやすいレイアウトにするために、最大限の努力をしています。けれども、長文であることを変えることはできません。

私のサイトへは、画面が大きいデスクトップからのアクセスが、最も多いのだろう、と以前は勝手に想像していました。Googleアナリティクスのサービスを受けるようになってから、その先入観が間違っていたことを知りました。

最近の1か月の間に、私のサイトへのアクセスに使われた「デバイスのランキング」は、以下のようになります。

  1. モバイル 58%
  2. デスクトップ 36%
  3. タブレット 6%

使われた「ブラウザのランキング」は次の通りです。

  1. サファリ 37%
  2. クローム 32%
  3. エクスプローラーとエッジ 18%
  4. その他 13%

上のデータが示していることは明確です。小さな画面では読むのが大変な私の書き物を、デバイス別では、iPhoneユーザーが、最も多く読んでくれているのです。

以下の「モバイルデバイス別のランキング」が、さらに上の確信を補強します。

  1. iPhone 58%
  2. iPad 6%
  3. ウインドウズRTタブレット 1%
  4. その他 35%

モバイルユーザーの皆さん、時々目を休ませながら、私の長文を読んでください。

369 関電幹部の言い訳に強い「違和感」 2019年10月3日

「死人に口なし」。関西電力の社長や会長が、「お世話になった」高浜町の元助役に罪をなすりつけています。

社長の弁解にいろいろな「違和感」を感じました。特に、「元助役からとてもお世話になったので、金品を受け取らざるを得なかった」、という発言には驚きました。世間一般の常識では、金品が動くルートは逆になります。お世話になった人が、お世話をしてくれた人にお礼をするのが、世間一般の常識ですよ。さらに驚いたのは、「金品の原資の出所については、全く考えが及ばなかった」という発言です。まさか、町役場の助役が、3億数千万円の金品を自分のポケットマネーから捻出した、などと考えていたのではないでしょうね。

日本列島は、世界で最もぜい弱な地盤に乗っています( 「地震・原発列島」)。今まで活断層が発見されていない地域でも、新しい活断層が突然にできる可能性があります。若狭湾周辺には、活断層が網の目のように張り巡らされているのです。京都や大阪に近いこんなところに、14基の原発が作られたことに、私は今までとても強い「違和感」を持っていました。

今回の問題が暴露されたことで、「なるほど」と、違和感の一部が解消されました。国税が解明したので、国税にエールを送りますが、税務署にしか解明できなかったところに、問題があります。建設費だけで、数千億円から1兆円を超える金が動く、原発事業の深い闇。今回の暴露で明らかになったことは、氷山の一角に過ぎないと思います。

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米食品医薬品局(FDA)が、日本にある米製薬企業の研究所を、査察したことがあります。査察官は、接待を完全にことわっただけではありません。社員食堂で昼食を取ることもなく、帰りに日本の民芸品をおみやげとして渡そうとしても、決して受け取りませんでした。「受け取らなければ日本人の気分を害するから、受け取っておこう」、などとは考えないのです。

368 中国のディープフェイク・アプリ 2019年9月13日

国際市場調査会社IDCによると、中国国内の公共監視カメラの設置台数が、2022年に27.6億台に達する見込みです。なんと国民一人当たり2台。NGOフリーダム・ハウスによる調査では、中国国民の自由度は、アンゴラよりも評価が低く、世界最低国のうちの一つになっています。

香港のデモの参加者は、マスクで顔を隠しています。監視カメラで撮影された映像が、中国当局へ流れている可能性があるのです。通りを歩くデモに参加しただけで、一国二制度の崩壊後に、社会信用システムで減点されるかもしれません。

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先週、次のようなレポートがオンライン版CNBCに載りました。

ビデオの顔を、リアルに他人の顔に変えてしまうアプリZaoが、中国で大人気です。アンドロイドとiPhoneで、無料でダウンロードできます。このアプリを使って、実写と変わらないディープフェイク・ムービーを、作ることができます。

プライバシーが限りなく軽い中国で、メディアが珍しく批判をしています。Zaoの提供企業が、ユーザーが作ったフェイク・ムービーのデータを、自由にできることが問題だと言うのです。また、SNSのWeChatが、Zaoで作った動画の投稿を禁止しました。Weibo(中国版ツイッター)は、個人の生体情報を保存しないことを約束しました。中国企業が、プライバシーの問題でこのようにすばやく声明を出すことは、珍しいのです。しかし、具体的にどう対応するのかが不明なので、プライバシーが守られる保証はありません。

新しいものを、なんでもすぐに取り入れるように見える中国人ですが、技術に対する不信感が芽生えているようです。 ディープ・フェイクが急速に拡大することに対して、不安を感じるユーザーがいます。Zao提供企業が、中国政府の司法に組み込まれていることが、不安を増大させます。提供企業は、「安全保障」や「公衆衛生」にとって脅威になったり、当局や裁判所が望むならば、個人のデータを消去しないで当局に提供する、と言っています。

ディープ・フェイクは、政治的に利用されるだけではなく、個人攻撃にも使われることを予想できます。ディープ・フェイクで作られたオバマ大統領が、話題になったことがありました。個人が、知らない間に犯罪を犯したことになる可能性があります。

367 米中、判断が遅れる識者 2019年9月7日

私が「中国をつぶすアメリカの戦略」を書いたのは、1年3か月前の昨年5月でした。その論評で、アメリカが中国へ提出した「枠組みの草案」が、明確な最後通告であることを指摘しました。それ以前の事態の推移を考慮すると、「中国をつぶすアメリカの戦略」が正式に発動されたことには、疑いの余地がなかったのです。けれども、識者の多くが、その当時も現在もノンビリしています。昨日のオンライン版CNBCに、次のような論評が載っていました(要旨)。

「米中貿易紛争はすでに第2次冷戦の初期段階」
米中紛争はトランプの手を離れた。この紛争は、貿易だけではなく、技術と地政の覇権争いになっている。この争いを、もはやトランプには止めることができない。

私の判断では、ディール重視のトランプは日和見主義者です。ZTEへの支離滅裂な対応がそれを示しています(「中国をつぶすアメリカの戦略」)。

アメリカと中国(それに日本)を含む世界史の視点から解析し、米中衝突は必然であると結論したことを、「中国の覇権奪取戦略」「アメリカの対中国全面攻撃」に書きました。トランプだけではなく、対中戦略を動かしているナバロもライトハイザーも、中国側の習近平も、歴史の必然に呑み込まれている操り人形にすぎない、ということが可能です。推論をこのように展開すると、米中対決がますます厳しくなることを予想できます。ナバロの冷徹な分析をもとにして書かれた、「米中もし戦わば」(文藝春秋)が、現在と今後の状況の動きを予想するための重要な資料になります。

366 「湧き出る宇宙」売れ筋ランキング 2019年9月7日

「無から湧き出る宇宙」の執筆に、私は全力をつくしました(No.364)。販売開始は、我が子を世に送り出したような気分です。当然のことながら、皆さんからの反応が気になります。

今、「Amazon売れ筋ランキング」をチェックしました。販売開始からほぼ1か月後の現在、「無から湧き出る宇宙」のランキングは、次のようになっています。このランキングは時々刻々と変わります。

宇宙・天文学 9位
物理学 18位
理論天文学 5位

私の予想以上に「我が子」が健闘しています。理論天文学分野で5位になっていますので、私の空想理論天文学に興味を持っていただいた方が、多いのだと思います。この本に興味を持ち、わざわざ購入までしていただいた皆さんに、深く感謝をします。

365 和戸川書籍のバージョンアップ完了 2019年8月29日

「無から湧き出る宇宙」の電子書籍作成を終え、過去に作成した電子書籍には、修正が必要なことを理解しました。

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電子書籍には、規格としてリフロー型と固定型があります。リフローはウェブサイトのレスポンシブと同じで、画面サイズに合わせてページの表示が変化します(パソコン、タブレット、スマホ)。これは、レイアウトが変化することを意味します。固定では、どのような画面サイズでも、レイアウトに変化がありません。リフローにすると、端末によってはレイアウトが崩れてしまうことがあります。そこで、全書籍の規格を固定にして、レイアウトを安定させ、バージョンアップを実施しました。

もう1つの修正は、読みやすさに関するものです。電子書籍のページの操作は、紙の本よりもやりにくいと思います。それは、読みにくさにつながります。そこで、著者として強調したい文章を太字にしました。私のウェブサイトが、そのスタイルになっています。ページを読み飛ばすときに、著者が強調したい文章が真っ先に目に入り、著者が意図している内容の理解が容易になるはずです。

本を執筆するのには大きな努力が必要ですから、著者の意図を作品から容易に読み取ってもらえるように、著者には読みやすさの追求が必要になります。

アマゾンの電子書籍では、旧バージョンの購読者は、無料で新バージョンをダウンロードできます。読みやすくなった新バージョンを、ぜひダウンロードしてください。

364 宇宙誕生の瞬間 2019年8月14日

「無から湧き出る宇宙」をやっと書き終え、アマゾンから販売を開始しました。情報の収集と整理を始めてから脱稿するまでに、4年に近い月日が経過しました。
私のサイトでアクセス数が一番多いページは、「外側から見た私たちの宇宙」です。このエッセイ評論をおもしろいと思った方には、拙著をさらにおもしく読んでいただけると思います。

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私たちの宇宙の経験則を使って確立された、物理法則と数学公理は、目に見える範囲の宇宙空間にしか適用できません。アインシュタインもホーキングもその外側へ踏み出さないように、理論を注意深く構築しました。誕生前の宇宙には既知の物理学も数学も適用できないばかりか、そこを認知することも不可能です。完全に「無の宇宙」になります。一般的な天文学の著書には、「宇宙は無から誕生した」という記述があり、説明はそこで止まってしまいます。

量子力学が解き明かしている物理現象は、「有の宇宙」が「無の宇宙」と一体化していることを、示唆しています。目に見える範囲で生じている現象が、認知の地平のかなたとの相互作用によって生じる、と考えなければ、種々の物理現象の説明が不可能になるのです。

人間の認知能力が極めて限定されているために、思考には厳しい制約がかかっています。「常識」から自らを解き放つことによって、見えない宇宙の片鱗が見える可能性があります。「無から湧き出る宇宙」が、思考の限界に挑戦することに興味を持っている皆さんに、少しでもお役に立つならば幸いです。

アニメが YouTubeの和戸川ページ に入っています。 You can find animated cartoons on Watogawa Page of YouTube .
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